看護師などの医療従事者不足の原因

大阪の医療従事者不足の原因、その対策を探っていきます。

医療従事者不足対策NAVI
なぜ看護師不足が起こっているのか

なぜ看護師不足が起こっているのか

医師不足同様、看護師も不足しています。勤務のシフトに合う人員は確保されているのですが、そのメンバーが揃っていても、いつも勤務時間中は忙しく、休む間もありません。そんな状況で一人でも急に休みになると、休憩時間を半分に減らして、なおかつ残業も必須となります。
新卒の定期採用と中途の採用もあるのですが、同じ程度の離職者もいるので、余裕が出ることはありません。看護師不足の理由は、医師の不足とまた違う理由です。

看護師の人数の実際

毎年、看護師の国家試験に合格する人が5万人程度います。看護師の離職率は高いですが、新規合格者や転職や復職する人も多いので、毎年就業者は増えています。平成24年末時点で154万人が現役の看護師として働いています。そして厚生労働省のデータによると、平成24年の時点で必要とされる看護師は143万人と試算されていますので、数字の上では十分足りていることになります。しかし、実際に働いていると、けっして看護師が足りていると感じることはありません。それはなぜでしょうか?

看護師配置基準の弊害

病院に何人の看護師が勤務するか?医療法でその基準が定められています。それは、一人の看護師が何人の入院患者を担当するか、という以下の区分で決められています。それは、15対1(入院患者15人に対して看護師1人。以下同じ)、13対1、10対1、7対1の4区分です。
このうち7対1は、平成18年の診療報酬改定で導入された配置基準で、この基準をクリアすると診療報酬の入院基本料が高くなります。そのために、都市部の病院では7対1の看護師配置を実施、維持するために、好条件で看護師を集めています。この結果、地方の病院から都市部の病院に転職者が増えて、地方の看護師が不足する原因になっています。また、7対1看護配置の維持は、病院からみると収入が増えるのと同時に人件費等の経費も増えますので、効率化を図るために、他の職種の医療従事者を減らして、看護師にその職種の仕事を割り振るので、看護師の負担が一層重くなるケースもあります。

急性期病院と慢性期病院における看護師不足

急性疾患や慢性疾患患者の容体が急変した場合に、高度で専門的な検査・手術・入院などの医療を提供するのが急性期病院、病状の安定している患者に長期入院医療を提供するのが慢性期病院です。
急性期病院は、入院患者の回転率を上げることで利益を確保しようとしますので、入退院が多く、看護師に負担が掛かります。慢性期病院は、急性期病院からの転院者を受け入れることが多く、その上、元々看護師配置の10対1以上のケースが多いため、常に看護師に負担が掛かっています。こうした状況が原因となって、急性期病院、慢性期病院ともに看護師の離職率は高く、看護師不足を誘発しています。

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