医師や看護師などの医療従事者の不足は日本に限らず、世界規模で起きている問題です。その医療従事者の不足が原因となって、医療事故が発生したり、医療従事者のメンタル面に不調が起こることがあります。医療事故はそれを起こした個人のミスやルール違反に注目が集まりがちですが、その本質は組織の問題であったり、業務プロセスの中に事故を誘発したりする条件が潜んでいたりします。人手が十分に足りていない状況で行われる医療行為は、医療事故の原因とならないように、組織としてチェック体制を整備する必要があるのです。
起きてはならない医療事故ですが、細心の注意を払っていても起きてしまうことがあります。不幸にして医療事故が発生したときには、その原因を調査します。その時、その事故の起こした個人のミスやルール違反にその原因を求めがちですが、重要なことは個人がそのミスやルール違反をするに至った過程です。組織の仕組みとして、個人がミスやルール違反を犯しやすい条件がないかをチェックしなければいけません。そういう条件があるのならば、それを組織として是正しなければ医療事故は防ぐことができないからです。
医療従事者が患者に対して行う医療行為は、投薬、注射、手術など患者の身体をなんらかの形で傷つけたり、侵害したりする行為です。これらの行為は法的には傷害罪や不法行為になるのですが、専門知識を有する資格を持った医師や看護師が行う行為として免責されています。しかし、その医療行為において、過失や不可抗力、あるいは設備の故障などで本来予定していたことと違う結果となり、患者の身体を傷つけてしまった場合は、医療事故になります。医療事故は組織として医療チームとして絶対に起こさないように常に細心の注意が必要です。
うつ病患者は日本だけでなく世界的にも増加傾向にあります。職場や学校での人間関係のストレスなどが原因となっているようです。うつ病や不安障害などの心の病は一般の人だけでなく医療従事者の間にも広がっています。原因としては人手不足で業務量が増加していて、十分に休養がとれず、ストレスが蓄積していることです。うつ病になると長期離脱は避けられませんので、残された人の負担がまた増えるという悪循環に陥ります。メンタルヘルス専門医の定期的健診を受ける等で早期発見、早期治療が望まれます。
医療従事者の不足は、日本だけではなく世界的な問題です。特に発展途上国ではその問題は顕著です。医療従事者の少ない国や地域で致死性の高い感染症が発生した場合、適切な処置が施されなければ、世界中に拡散して大事件となります。西アフリカ諸国で発生しているエボラ出血熱がその事例です。先進国から医療従事者を派遣しても、現地の医療従事者が少なく、衛生環境も整っていないために長期滞在ができず、効果的な対策が取れない状況なのです。発展途上国では、医療従事者の育成とともに地域の衛生教育も不可欠です。
うつ病や不安障害は近年、世界的に増加傾向にあります。その傾向は一般の人だけでなく、患者を治療する側の医療従事者にも当てはまります。メンタルヘルスに不調をもたらす原因はストレスですが、看護師不足による勤務状況の悪化がストレスの要因となっていますので、対策が必要です。医療従事者のためのメンタルヘルスの続きはこちら