ここ数年、うつ病患者は年々増加傾向にあります。それは日本国内に限らず、全世界的な傾向です。その原因は仕事や学校の人間関係のストレスなど様々で、早期に発見して治療をしなければ、最悪、自殺に至るケースもありますので注意が必要です。このうつ病をはじめとした不安障害などの心の病は、一般の人に限らず、医療従事者の間でも増加する傾向にあります。
医師や看護師のうつ病患者も年々増えています。これは医療現場の環境の悪化が原因と考えられます。従来から、人手不足で仕事量が増えている上、超過勤務も多く、心身ともに疲れることの多い職場ですが、近年は医療訴訟の回避に気を遣うあまり、書類の作成量が増えたことによる事務の煩雑化と事務量の増加が、医療従事者をますます疲弊させています。また、診療報酬体系が変わったことにより、採算性と効率性が今まで以上に重視されるようになり、現場人員の削減を進めている病院もあります。これがますます医師と看護師の長時間労働を助長しています。
この結果、本来治療する側の医療従事者のうつ病が増えることになり、現場から長期離脱することになるため、現場はますます人手不足で悪循環を誘発するという最悪の状況になっているのです。
医療従事者のうつ病などの心疾患を予防するためには、その疾患の原因を取り除くことです。うつ病の原因はストレスのことが多いですが、そのストレスの根本原因を取り除くのが最も有効な予防手段です。医療従事者のストレスの根本原因は過酷な職場環境にあるのですが、これを解消するのは現実問題としては非常に難しいです。しかし困難であっても、そこをクリアしなければ、心身に病を抱える医療従事者は増える一方です。
医療現場を客観的に見て、第三者的立場から経営層や現場のトップにアドバイスができる仕組みが確立できれば、様相はかなり変わってくるでしょう。併せてメンタルヘルス専門の医師が定期的に医療現場の医師や看護師の健診を行うことができれば、うつ病予防に大きな力を発揮するはずです。また、現場のトップが部下の精神状態を判断するために随時、面談等の話し合いの場を持つことも意味があります。
すでに心に不調を抱えてしまった人は、専門の精神科医に診てもらうことで水際の予防策を講じることができます。専門医に診てもらった段階で、正式にうつ病などの心疾患と診断された場合は治療を受けることになります。その後は治療のために長期休職した人をどのように職場に復帰させていくかの対策をとって行く必要があります。
一人でも長期離脱者が出てくると医療現場のパフォーマンスは著しく低下します。それを防ぐためには、根本的にメンタルヘルスへ対応を考えて、初期の段階でうつ病を予防していくことが何よりも重要なのです。そして、それが結果として医療現場のパフォーマンスを向上させることなり、医療事故の防止にもつながっていきます。
うつ病や不安障害は近年、世界的に増加傾向にあります。その傾向は一般の人だけでなく、患者を治療する側の医療従事者にも当てはまります。メンタルヘルスに不調をもたらす原因はストレスですが、看護師不足による勤務状況の悪化がストレスの要因となっていますので、対策が必要です。医療従事者のためのメンタルヘルスの続きはこちら